禅とジブリ
京都で開催中の「禅とジブリ」展に行ってきました
「禅」と聞くと、一見ジブリぽくないような気もしますが(笑)

実は、ジブリ作品に登場するヒーローやヒロインの生き方には
禅的な要素が、多数込められています
「生きる」というテーマも、その一つです
「もののけ姫」のキャッチコピーは、『生きろ。』
「風立ちぬ」のキャッチコピーは、『生きねば。』
ジブリの鈴木敏夫プロヂューサーによると
生きていると、つらいこともいろいろあって
大変だろうから、みんなを励ます言葉として
このコピーが作られたそうです
そもそも「禅」とは何なのか?

宗教には、それぞれに経典がありますが
禅には、拠り所とする経典を持たない
禅僧が十人いれば、十人の禅があると言われています
禅という特別の教義があるのではなく、
「生き方」や「心の在り方」を坐禅という実践を通して
自分自身で確かめていくところに禅の奥深さがある
最終的には「悟り」とは何か、につながっていきます

30年間、ビーワンの仕事をさせてもらっていて
度々、考えさせられるのが、「伝える」とは何か、です
これは、一つのテーマでもあるのですが、
伝えても、伝わらないことは、よくあります

そもそも、興味がなければ伝わらないし
最終的には、伝わる人にしか、伝わらないのも事実
ですが、
伝えても、伝わらなかったら、意味がないのも事実
「伝える」は、一方通行
「伝わる」は、相互作用
自分と相手がつながっている状態が、伝わる

つまり、
伝わったときには、「共感」という相互作用でつながっている
そして、
このつながるということには、「縁」というものも深く関係しています

伝えるための手段も色々あります
禅には、「不立文字」という言葉があって
言葉にできないものを伝えるのに、
敢えて、言葉をたくさん多用しているのですが
結局、大切なことほど、
言葉では、真意が伝わらないということ

無理に、言葉で伝えようとすると
似て非なるものになってしまう
逆に、言葉で伝わるものは、
あまり、大したことではないのかもしれない

そのことを知るジブリの名場面が
「ハウルの動く城」のラストシーン
ソフィーが荒地の魔女にハウルの心臓を返すように言います
魔女は、最初は断りますが、
ソフィーが魔女を抱きしめたあと、
「大事にするんだよ」と言って、心臓を返します
そこには、言葉ではなく、
絶妙な「間」が存在します
その「間」によってなぜ、返したのか
伝えたいことは、「何か」が分かります

察する時間を、間が作り出している
間には、不思議な間力があります(笑)
「間」を大切にする
「間」によって、何かを伝えるというのは、
日本独特の文化かもしれません
「以心伝心」もそうですね
何も言わなくても、
態度や雰囲気だけでお互いの気持ちが分かります

言葉を超えた感覚、波動です
伝わっているかどうかまでわかります
ジブリ作品には、論理的に説明出ない偶然性、
つまり「縁」というものが、物語を語る上では欠かせない
「縁」によってキャラクターは動かされていく
これは、すべての人の人生にも当てはまります
物事はすべて、原因と結果によって引き起こされていて
これが、いわゆる「因果」というものです

それは現次元だけでなく、過去生も含めた
自分自身の全ストーリーの中から生まれてくるもの
人それぞれが、経験してきたあらゆる出来事が
複雑な関係性の中で、タペストリーのように重なり合い
思いもよらないことが起きているのです

それを「縁起」と言います
今、みなさんの目の前で起きていること、すべてです
目標に向かって努力することは必要ですが
努力だけで達成できるのかというと、決してそうではなく、
実際には、人と人とのつながりによって、
思いがけない結果につながっていくことがほとんどなのです

ジブリの鈴木敏夫プロヂューサーは、
“猛獣使い” と言われているくらい(笑)
二人の名物監督、高畑勲、宮崎駿監督
と付き合ってこられた方ですが
意外にも、自分の人生、「生き方」に関しては
自分から積極的に何かをやろうとしたことがなく
ずーと「受け身」で生きてきたそうです
様々ないきさつがあって、それに巻き込まれていった結果
こうなったのだそうです

これが「ご縁」というもの
「受け身」というと消極的に聞こえますが
起きていることを、あるがままに受け入れることでもあり
これが、禅的な生き方にも通じていると思います

「一切をあるがままに受け入れるところに真の自由がある」
自由になるために何かをするのではなく
始めから受け入れることで
私たちは元々自由なのです
Let it be(あるがままに)
実は、ビートルズも禅の影響を受けています(笑)
正岡子規が亡くなる前に書いた言葉
「禅の悟りとは
どんな場合でも、平気で死ぬことだと思っていたが
それは間違いで
どんな場合でも平気で生きることだとわかった」と
死ぬ間際になると、今度は「生きる」ことの尊さに気づく
『生きろ。』
『生きねば。』
やっぱりここか

人生、多少の努力は必要ですが
実際、生きてみたら、そんなに悪いものじゃない
だから、みなさんここにいます(笑)

(おまけ)
係の人が「動画で撮影しても大丈夫ですよ」
といってくれた後、タイミングよく撮れました
ジブリのあのキャラクターが現れます(嬉)

