楽園天国
半世紀以上も前に行われた実験に
「ネズミの楽園実験」というのがあって
ネズミにとって、最も快適な環境を用意し
十分な水、十分なエサを与えます
そこでは、すべてが与えられ
何不自由ない生活が約束されています
そこは、本当にユートピアなのか?
果たして、本当の楽園とは・・・

(ジョン・B・カルフーン博士)
これは、カルフーン博士によって
1968年~1972年にかけて始められた有名な実験で
「UNIVERS 25」と名付けられています
この実験施設には、
3,840匹のネズミが快適に暮らせるように設計され
十分なスペースと
十分な水とエサが、常に用意されています
最初に8匹のネズミを実験施設に入れます
順調に繁殖が始まるのですが、
2,200匹をピークになぜか、増えなくなります

そして、560日後には、ついに子どもを生まなくなり
その後は、猛スピードで減り始め
920日後には、なんと全滅してしまうのです

ネズミたちは、
どれほど、快適な空きスペースがあっても
どれほど、十分なエサがあっても、
個体数がある一定ラインを越えると、
わざわざ過密する場所を選び、集団行動を好むようになります

そして、十分なエサが用意されているにもかかわらず
弱者は、強者の独占するエサを欲しがり、
他に十分に広い巣箱があるのに
わざわざ、強者のいる巣箱に一緒にいようとする
結果、エサを独占する者と
はじき出される者が生まれ、階級化が進む

はじき出された弱者は、
成長しても、社会性はまったくなく
ただ食べて、寝て、死んでいく・・・
強者はより暴力的になり、子どもさえも殺すようになる
やがて、社会は崩壊し、絶滅を迎える
何とも恐ろしい結末です
25回、同じような実験を繰り返したそうです
なので、「UNIVERSE 25」という実験名がつけられています
残酷な実験ですが、
結果は、同じようになるというのだから
驚きです

本当は、ユートピアのはずだったのに
ディストピアに変わっていく・・・
なぜ・・・?
与えられることが、当たり前になると
ネズミ同士のつながりは、どんどん失われていく
お互いが、仲間であることを忘れ
お互いが、敵対し始める
十分のエサがあるはずなのに、奪い合いが起きる

ネズミたちにとって、
何もかもが、与えられたその世界は
決して幸せな場所ではなく、
全員が、孤独だったのかもしれない
ネズミたちは、快適さよりも
きっと、つながりを求めていたのだろう
社会性を失い、生きる意味を見失ってしまった結果
社会そのものが、消滅してしまったのではないだろうか

これを人間社会に置き換えてみると
色々なことが見えてきます
すべてが与えられている環境下では
「助け合い」は、必要ありません
「助け合い」という概念が、欠如し
仲間意識がないまま
人口だけが増えていったとしたら
最終的には、人間もネズミと同じ運命をたどるかも知れない

たとえ、何不自由ない生活が約束されていたとしても
そこに「喜び」というものがないと
人は、生きる意味を見失ってしまいます
「喜び」こそが生きる糧となるのです
そこに本当の意味での「助け合い」が生まれます

人間の脳には、高次の認知機能があって、
150人の人とつながれるそうです
大脳新皮質が、それを担っていて
オランウータンやチンパンジーと言った霊長類にも
大脳新皮質は備わっていますが、
人間ほど高次の認知機能はありません
私たちは、純粋意識、魂(スピリット)レベルでは
常時、150人の人と繫がっていて
決して1人ではない

既に、大勢の人々と繫がっているので
世の中をいつでも変えられる力を持っています
スピリットも、本当はそれを求めている
本当のユートピアとは、与えられるものではなく
自分たち自身で、創造していくものなのです
